[ お父さん甘い ］

「会ってほしい人がいるの」

と言って娘が連れてきた男は、熱心な宗教家の卵でした。お父さんは戸惑いを隠せません。

「きみは将来の仕事はどう考えているんだ？」

「心配いりません。神がくださいます」

「しかし、結婚したら住む家はどうする？」

「神がくださいます」

「生活費はどうするんだ？」

「神がくださいます」

「結婚指輪は買ったのか？」

「神がくださいます」

すべてがこの調子。彼が帰った後で娘はたずねました。

「お父さん、彼のことどう？」



「…私のことを神と思っているところは好感が持てる」