明日は明日の風が吹いて……個人の日記帳です

アメリカンジョーク好きです

牙の街

牙の街
勝目梓(著)
(光文社文庫)
東京郊外の会社社長宅に押し入った悟と林田は、一家全員を全裸にして縛り上げ、五千万円を強奪した。そこで悟は、犠牲者の一人である若いお手伝いが高校の同級生だった有村芳子と気付き愕然とする。危険も顧みず芳子に会うことを決意する悟。そこには意外な運命が二人を待ち受けていた…。炸裂する暴力と極限の性。著者渾身の衝撃作四編収録。
表題作以下4篇収録『牙の街』『仮面の絆』『偽りの葬列』『轍の陰画』

ジャンルとしてはハード・バイオレンスとなっている。
ピカレスク小説の一つといっていいのだろうか。
勝目梓は何冊か読んだことあるが特にシリーズとなっている主人公はいないようでこの作品でもすべて主人公は別。
強盗に押し入る男であったり、蒸発した夫を探している女であったり…。
著者はエロとバイオレンスが売りとされてしまいがちだがストーリーも,推理小説のあの事件が解決に向かうのとはちょっと違うが,意外性に富む。謎が解明されないほうがむしろよかったんじゃないかと圧倒的にやりきれない終わり方になる場合もある。
『牙の街』強盗の仲間割れの話『偽りの葬列』依頼により会社へ社員として潜入し労働組合を作って弱体化を狙う話『轍の陰画』ひき逃げ隠蔽の話 はやりきれないが人間の業といったものが垣間見える。
『仮面の絆』蒸発した夫を追う話 は終わり方があっけなく中途半端な感じで後をひく。
著者はもともと純文学を目指していたそうだがバイオレンスといっても小説では短い文章でたたみかけるように書くのでスピード感があるように感じる。